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マイナンバーカードで本人確認を強化 マッチングアプリをより安全・安心なものに

4人に1人がマッチングアプリで結婚相手に出会うと言われる時代。出会いの利便性が高くなった一方で、金銭を騙し取る詐欺など、“なりすまし”によるトラブルも急増しています。そこで、アプリの安全な利用環境の構築に向け、確かな本人確認を実施するため、デジタル庁は業界団体と連携してマイナンバーカードの利活用を進めています。

マッチングアプリ事業者がマイナンバーカードを活用して年齢や独身証明などの本人確認を強化することで、ユーザーが安心してアプリを利用できる環境づくりを推進するべく、デジタル庁は2025年6月、一般社団法人 恋愛・結婚マッチングアプリ協会と「マッチングアプリサービスにおけるマイナンバーカード活用等に関する協定」を結びました。

今回のデジタル庁ニュースでは、マッチングアプリの安全な利用環境づくりに向けた国・業界団体の取組や、マイナンバーカードの活用事例を紹介します。
(※記事内容は取材当時の情報に基づきます)

目次

“真剣な出会い”を守るため、マッチングアプリでの本人確認をマイナンバーカードで強化
マッチングアプリでのマイナンバーカード活用事例とそのメリット
 (1)アプリ登録時の本人確認
 (2)独身証明機能
簡単、確かな本人確認にマイナンバーカードの活用を

“真剣な出会い”を守るため、マッチングアプリでの本人確認をマイナンバーカードで強化

こども家庭庁による、「結婚相手と出会ったきっかけ」の調査結果を示した円グラフ。既婚者2,000人が回答し、マッチングアプリは25.1%、職場や仕事の関係・アルバイト先は20.5%、学校は9.9%、友人や兄弟姉妹の紹介は9.1%、パーティーや合コンは5.2%、その他は30.2%となっている。
(こども家庭庁による、「結婚相手と出会ったきっかけ」の調査結果)

こども家庭庁の調査によると、40歳未満の既婚者のうち4人に1人がマッチングアプリで出会って結婚しています。また、地方自治体と民間のマッチングアプリ運営企業との連携も増え、少子化対策としての期待も高まっています。

一方で、恋愛感情を抱かせた相手から金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」や、既婚者が独身を偽ってマッチングアプリに登録していたことでトラブルが生じており、本人確認の強化が課題になっていました。

恋愛・結婚マッチングアプリ協会の飯塚勇太代表理事は 「4人に1人がマッチングアプリで出会って結婚されており、非常に大きな社会的責任があると感じています。真剣な出会いを求めてご活用されている利用者の方が、トラブルや犯罪に巻き込まれてしまうことは大変遺憾であり、容認できません」 と強調します。

相手のプロフィールが本当か、不安を感じているアプリ利用者も少なくありません。

株式会社タップルが実施したアンケート(※1)によると、男女ともに過半数がマッチングアプリを使用中に「相手が既婚者かもしれない」と心配になったことがあり、「相手が本当に独身か分からないので、何かしらの形で証明してほしい/まあまあ証明してほしい」と思うユーザーは男性で83.8%、女性で97.4%にのぼりました。

(※1)調査概要:
(回答者)全国男女5,429名、(調査期間)2024年5月13日〜5月17日、(調査手法)SurveyMonkeyを利用したアプリ内アンケート

政府が2024年6月にとりまとめた「国民を詐欺から守るための総合対策」(※外部リンク)ではマッチングアプリ業界が抱える課題感やアプリ利用者の不安感を踏まえて、マッチングアプリ事業者に対して、より厳密な本人確認の実施など自主的な不適正利用対策に取り組むよう働きかけることが盛り込まれました。また、同年9月にはデジタル庁と警察庁の連名で、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害防止に向けたマッチングアプリにおけるマイナンバーカードの積極的な活用を関係団体に要請しています。

マイナンバーカードの活用がマッチングアプリ利用者間のトラブル抑制や不適正利用対策につながり、アプリの安心・安全な利用環境の構築にも寄与することから、デジタル庁は恋愛・結婚マッチングアプリ協会とともにマイナンバーカードの活用に関する検討を進め、今回の協定締結に至りました。

●「マッチングアプリサービスにおけるマイナンバーカード活用等に関する協定」の内容は以下のリンクをご覧ください。
一般社団法人恋愛・結婚マッチングアプリ協会と「マッチングアプリサービスにおけるマイナンバーカード活用等に関する協定」の締結式を行いました|デジタル庁(※外部リンク)

協定式の様子はデジタル庁ニュースの動画でお伝えしています。あわせてご覧ください。

マッチングアプリでのマイナンバーカード活用事例とそのメリット

スマートフォンを右手に持ち、左手に持つマイナンバーカードをスマホにかざして、本人認証を行う手元の様子を写した写真。
(スマートフォンにマイナンバーカードをかざし、本人認証を行う様子)

国の動きと並行して、業界団体もユーザーが安心・安全に利用できるサービス環境づくりを目指しています。恋愛・結婚マッチングアプリ協会では、自主基準ガイドライン「7つの約束」の策定・運用や、各社の好事例や知見を共有する「安心・安全ナレッジ共有ワーキンググループ」を立ち上げ、行政機関との意見交換に取り組んでいます。
マッチングアプリでの、マイナンバーカードの活用事例についての紹介。スライド左側にはペアーズの事例を紹介している。ペアーズは、マイナンバーの公的個人認証サービス(ICチップ読み取り)導入により、本人確認を強化している。スライド右側にはタップルの事例紹介。はマイナポータルの機能を経由し、婚姻関係情報を取得・表示し、独身偽装を防止している。
(マッチングアプリでの、マイナンバーカードの活用事例/恋愛・結婚マッチングアプリ協会の資料をもとにデジタル庁で編集)

協会に加盟する各社でも様々な安全対策を実施しています。その一つがマイナンバーカードを活用したものです。公的個人認証サービス(JPKI)による本人確認や、マイナンバーカードを活用した独身証明などを取り入れる運営企業もあります。

(1)アプリ登録時の本人確認

「厳格かつスムーズに本人確認できる『マイナンバーカードスキャン認証』」と題されたスライドで、エウレカ社が運営するマッチングアプリ「ペアーズ」への導入事例を紹介している。 スライド左側で、マイナンバーカードスキャン認証の本人確認フローを説明している。左側上段にて「①わかりやすく丁寧なチュートリアルで券面情報の入力をサポート」との小見出しがあり、マッチングアプリ上でスキャン認証を進めるスマートフォンの画像(※イメージ)が4つ示されている。左から順に、「署名用電子証明書のパスワード入力」「生年月日の入力」「(マイナンバーカードに記載された)有効期限の西暦の入力」「(マイナンバーカードに記載された)セキュリティコードの入力」の画面が表示されている。左側下段では「②あとはスキャンするだけ。取得する情報は一般的な本人確認の入力データのみ」との小見出しがあり、スマートフォン画面とマイナンバーカードのイラスト(※いずれもイメージ)が示されている。「取得する情報」には「①生年月日(※インターネット異性紹介事業を規制する法令に基づき、利用者が18歳以上であることを確認する目的で取得。これにより未成年によるアプリ利用を防止)」「②
(厳格かつスムーズに本人確認できる「マイナンバーカードスキャン認証」/エウレカ提供)

株式会社エウレカでは2024年8月から、マイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)を自社アプリに導入し、本人確認を強化しました。

アプリ利用開始時には、マイナンバーカードの署名用電子証明書(※2)と券面事項確認AP(※3)を用い、利用者のマイナンバーカードのICチップから生年月日・性別・顔写真を取得します。利用者が署名用電子証明書のパスワード(6~16桁の英数字)を入力し、マイナンバーカードをスマートフォンにかざすと本人確認が完了します。これによりアプリに正確な情報が登録されます。認証完了後、本人確認バッジが付与されます。

このように、簡単かつ迅速な本人確認と本人確認バッジによって、利用者は安心してアプリを利用することできます。

(※2)署名用電子証明書:ICチップ内に搭載。インターネット等で電子文書を作成・送信する際に利用され、「作成・送信した電子文書が、あなたが作成した真正なものであり、あなたが送信したものであること」を証明できる。確定申告や証券口座の申込など、オンラインの申請などで用いられる。この仕組みによって、相手方は、確実な本人確認と、申請書が改ざんされていないことを確認できる。

(※3)券面事項確認AP:ICチップ内のアプリケーションで、基本4情報と顔写真、個人番号の画像データが記録されている。

安全性にも配慮しています。本人確認自体はアプリ内で操作が完結しますが、その際に利用者が入力する署名用電子用証明書のパスワードは、アプリ内に保存されない仕組みです。

マイナンバーカードを活用することでICチップや電子証明書の暗号技術、カード本体に施された各種セキュリティ対策によって悪質な利用を防ぐことにもつながり、事業者は安心感の高いサービス提供につなげることができます。これまで書類を目視で審査していた負担を軽減するなど、アプリ運用の効率化も図れます。

●マイナンバーカードの電子証明書や公的個人認証サービス(JPKI)に関する詳細は、以下のリンクをご覧ください。

(2)独身証明機能

マッチングアプリ「タップル」の取り組み。2025年4月30日から、全国初のマイナンバーカードを利用した「かんたん独身証明」機能を提供開始。マイナンバーを2回読み取りで証明完了(取得情報は券面事項の住所、氏名、生年月日、性別、婚姻関係情報)。完了のお知らせが届いたらプロフィールに表示。マイナンバーカードを活用してより強固な本人確認を行うことで、さらに安心安全にご利用いただけるサービスを提供。
(タップルではマイナンバーカードを活用した「かんたん独身証明」機能の提供を開始した。マイナンバーカードを2回読み取ることで証明が完了する/タップル提供)

株式会社タップルでは、2025年4月からマイナポータルの機能を用いた独身証明機能を運営するアプリに搭載しました。この独身証明機能はデジタル庁が提供する「マイナポータルAPI」を活用したものです。

マイナポータルAPIは、利用者の同意のもと、マイナポータルを通じて取得できる情報を民間や行政機関等が提供するサービス等と連携し、より便利なサービスをつくるためのAPIです。

タップルでは、アプリ利用開始時に利用者のマイナンバーカードを読み取り、券面事項の住所・氏名・性別を取得してアプリとの登録情報と一致するか確認します。その後、マイナポータルに遷移し、利用者に同意事項を確認してもらいます。再度カードを読み取り、パスワードを入力すると、戸籍情報から婚姻関係情報を取得します。この方法でマイナポータル経由で戸籍情報を取得し、アプリに連携することで、本人が独身であることを証明します。独身証明の有効期限は1年間です。

●マイナポータルAPIに関する詳細は、以下のリンクをご覧ください。

タップルの伊香賀淳・経営管理本部長は、独身証明機能について 「(機能搭載の)リリース以降、想定の3倍以上の利用があります」 と話し、活用のメリットを以下のように説明します。

「実際に独身証明をされた方を見る会員様側からすると、“この人は確実に独身である”ことが分かるので、安心してお相手を選択できるところがメリットだと思います。独身を証明する会員様側からしても、“既婚者ではなく独身である“と証明できるので、よりお相手に“自分は安心・安全だ”と示せることがメリットだと感じます。弊社が実施した利用者アンケート調査では、こういった機能を他のアプリでも導入すべきという回答が80%を超えており、利用者の満足を得られているのではないかと考えています」

「独身証明書を取得するとなると、これまでは本籍のある自治体の窓口まで取りに行ったり、紙で取得して、それを郵送したりする方法が一般的でした。今回のようにマイナンバーカードを活用すると、30秒程度で簡単に証明ができるようになるので、その点もかなり利便性が向上しています」(伊香賀氏)

簡単、確かな本人確認にマイナンバーカードの活用を

マイナンバーカードは「デジタル社会のパスポート」と題した説明図。令和7年5月末時点で、9,817万枚(約78.6%)が保有されている。自分を証明するマイナンバーカードは、オンライン市役所化(自治体・国の様々な行政手続をスマホから。一人一人に寄り添う公共サービスを、プッシュで実現)、市民カード化(いつでも安全に持ち歩けて、新たなサービスやメリットも受けられる)、安全・便利な民間ビジネス(なりすましのないサービス・簡単・迅速・安価な手続へ。サブスクリプション型など、新たなサービスの開拓へ)という3つの軸で活用が進められている。

(「デジタル社会のパスポート」としてのマイナンバーカードやマイナポータルの、あらゆる場面での活用が期待できる/デジタル庁)

マイナンバーカードは、対面だけではなくオンラインでも確実な本人確認ができる安全・安心なデジタル社会のパスポートとして、多くの方々にご利用いただいています。マイナンバーカードの保有数は約9,817万枚、保有率は78%を超え(2025年5月末時点)、国内で一番浸透した本人確認ツールと言えます。

マイナンバーカードの利活用を担当するデジタル庁国民向けサービスグループの鳥山高典・企画調整官は 「マイナンバーカードは本人確認のインフラとして広まってきました。これをもとに、厳格な本人確認をするユースケースをどんどん増やしていきたいです」 と意気込みます。

「現在750社以上の民間企業の方に、マイナンバーカードを使った本人確認を実装いただいています(2025年5月末時点)。これまでは金融機関や携帯電話会社などにおいて、犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法等の法律に定められた本人確認の方法としてマイナンバーカードの実装が進んできました。これからは法的に記載されていなくても、安心・安全な場を作るという目的で、マイナンバーカードによる本人確認が行われるようになると思います」

「マイナンバーカードの使い方は日々進化しています。民間企業の皆さまには、手軽に本人確認ができる手段として、ぜひマイナンバーカードの活用をどんどん進めていただきたいと考えています」(鳥山)

デジタル庁は引き続き、本人確認のデジタル化の領域で伴走支援をしていきます。

●デジタル庁ニュースでは、マイナンバーカードやマイナポータルの利用に関する記事を掲載しています。以下のリンクをご覧ください。

●デジタル庁ニュースでは、マイナンバーカードの利活用シーンを紹介する記事を掲載しています。以下のリンクをご覧ください。

●デジタル庁ニュースの最新記事は、以下のリンクからご覧ください。