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【アナログ規制見直し】目視作業をデジタルツールで代替 工事現場の省人化最前線【テクノロジーマップ活用】

道路を走るトラックの写真の上にインフラの老朽化をデジタルで救うという文字。右上にはデジタル庁ニュースのロゴが記載されている。

道路を走行しながら地中を深さ3メートルまでスキャンし、道路陥没の原因となる損傷個所の早期発見を実現する「路面下空洞探査車」――。

人手不足が深刻化する現在、道路などのインフラの老朽化が各地で大きな課題になっています。こうしたインフラが抱える課題解決の手段として期待されているのがデジタルツールの活用です。

今回のデジタル庁ニュースでは、デジタルツール活用による工事現場における省力化・省人化や、デジタルへの代替を可能にしたアナログ規制の見直し、「テクノロジーマップ」や「技術カタログ」についても紹介します。

「アナログ規制の見直し」とは?

道路を掘り起こし、ガス管や水道管などの位置を人が測定し記録するアナログな作業の様子の写真

(道路を掘り起こし、ガス管や水道管などの位置を人が測定し記録するアナログな作業の様子)

これまで我が国では法令等の定めに基づき、河川や橋、ダム、危険物の保管場所、一定規模の商業施設など、一部の建物・構造物の管理状況や損傷状況などについて、人が現地に行き、目で見て調査・点検・検査することが義務付けられてきました。

こうした「人の目による確認」「書面での掲示」「対面での申請」など、デジタル技術が登場する以前に定められたアナログ的な手法による対応を前提とした古い規制のことを「アナログ規制」と呼びます。

デジタル庁では、こうしたアナログ規制の見直しを各府省庁と連携して進めています。国の法令等については、見直し対象となったほぼすべての規制の見直しが完了したことで、さまざまな分野で新しい技術を含めた多様な技術を活用できるようになり、「制度の見直し」と「技術の実装」の好循環が生まれています。

●アナログ規制見直しの取組については、以下のリンクをご覧ください。

地中の3Dモデルを自動作成するアプリ

地中の3D記録システムを使って埋設物を動画撮影する様子の写真

(地中の3D記録システムを使って埋設物を動画撮影する様子)

さまざまな場所で目にする工事現場にも、アナログ規制の見直しによってデジタルツールの導入が進んでいます。

道路を掘り返し、地中の埋設物を確認する試掘工事ではこれまで、水道管やガス管などの位置をメジャーで測り、黒板に記録するというアナログな方法で測定作業を行っていました。しかし、デジタルツールを使える現在は、この測定作業が大幅に効率化。省力化・省人化を実現しています。

都内の企業が開発した地中の3D記録システムを使用すれば、測定作業はスマートフォンで試掘箇所を動画撮影するだけで完了。動画をアップロードすると、3Dモデルが自動的に生成されます。このシステムの導入は、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、測り間違いや記載ミスといったヒューマンエラー抑制にも効果を発揮します。

従来の作業では一つ一つ測定するのに時間がかかる上、管が斜めに配置されていたりすると正確に測れないなどの課題がありましたが、デジタルツールの導入によってこれらの課題を解消しています。

スムーズな情報共有と工事現場の安全性向上にも寄与

3Dモデルを使った情報共有が簡単にできるのもこのシステムがもたらすメリット

(3Dモデルを使った情報共有が簡単にできるのもこのシステムがもたらすメリット)

実際にこのシステムを採用し道路工事を行う企業によると、システム導入には、省力化・省人化に加え、さらなる利点があると言います。

その一つが、会議室のモニターに映し出すなどすることで、複数人で地中の情報を簡単に共有できること。これによって、従来に比べて意思決定のスピードが速まっています。もう一つが、これまでのアナログな作業と比較して作業人数や作業時間を抑えられること。危険な場所で作業する人数や時間を最小限にすることによって、工事現場における安全性の向上にもつながっています。

「テクノロジーマップ」と「技術カタログ」

テクノロジーマップ(パターン1簡略版)

(テクノロジーマップ(パターン1簡略版))

デジタル庁では、アナログ規制の見直しに加えて、各府省庁がデジタル技術の実装を推進できるように2つのツールを公開しています。

それが、規制所管省庁等が技術動向を踏まえて自律的にデジタル実装や規制の見直しを推進していけるよう、規制と技術の対応関係を整理・可視化した「テクノロジーマップ」と、アナログ規制の見直しに活用できる製品・サービス情報を整理した「技術カタログ」です。

テクノロジーマップとは、規制の見直しに活用可能な技術類型を特定できるツールです。技術カタログでは、技術保有機関からの提供情報を基に、技術類型についての詳細な内容や、具体的な製品・サービス情報を提供しています。

●テクノロジーマップと技術カタログについては、以下のリンクをご覧ください。

以下の動画コンテンツでは、スマートフォンの動画撮影によって地中の3Dモデルを作成するデモの様子や、システムを使う企業の担当者が語る導入のメリット、デジタル庁 参事官補佐 テクノロジーマップ班長(総括)によるテクノロジーマップや技術カタログの今後の展望なども収録しています。ぜひご覧ください。

動画の内容をテキストで読む

●関連情報は、以下のリンクをご覧ください。

●デジタル庁noteでは、アナログ規制見直しに関連する記事を掲載しています。以下のリンクをご覧ください。

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