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行政の働き方改革のリアルを「人事院×GSS導入」で徹底解説

新型コロナ禍に広く普及したテレワーク。

かつて行政機関ではテレワークの導入がなかなか進まないという課題がありましたが、デジタル庁が開発した「GSS(ガバメントソリューションサービス」によって、導入府省庁ではテレワークなどのフレキシブルな働き方が可能なっています。

ファーストユーザーとなった人事院の導入事例を交えながら、GSSの特徴を紹介していきます。

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出遅れた行政機関のテレワーク導入

新型コロナ禍以降、自宅など職場以外の場所から仕事をするテレワークが浸透しました。民間企業がテレワークを導入し多様な働き方を実践していくなか、取り残されたのが行政機関です。

行政機関でテレワークの導入が進んでこなかった理由は大きく2つあります。一つは、これまでLANシステムやネットワークを各府省庁が独自に整備してきたため、ウェブ会議環境などのテレワークを行う業務環境が標準化されていなかったこと。もう一つが、クラウドサービスの利用が進んでいなかった点にあります。

デジタル庁GSS班の荒井 良太はこう振り返ります。

「各府省がバラバラにLAN環境やWAN環境を構築していたため非効率が生じていました」(荒井)

ガバメントソリューションサービス(GSS)について語る、デジタル庁 参事官補佐 荒井 良太の写真。

(ガバメントソリューションサービス(GSS)について語る、デジタル庁 参事官補佐 荒井 良太の写真)

そのような状況をアップデートし、政府共通の標準的な業務実施環境を提供するため、新たに開発したのがGSSです。

GSSは、職員が使用するPCやスマートフォン、それぞれの端末で使用するソフトウェア、ネットワーク環境まで、省庁内のIT環境全体を構築。最新技術を取り入れて生産性やセキュリティの向上を図りつつ、各府省庁の業務環境の統合を進めています。

「業務実施環境を一括で整備することで、費用対効果の向上やサービスの均一化を実現しながら、ウェブ会議環境や端末、ネットワークなどの各環境を整えています」(デジタル庁 荒井)

実際にGSSの運用を担当しているデジタル庁GSS班の河野 圭も、GSSがもたらした効果についてこう語ります。

「どの省庁で利用しても、基準を満たすようなセキュリティを担保したことで、どこでも業務ができるようになったのが大きいところです」(デジタル庁 河野)

GSSのセキュリティについて語る、デジタル庁 参事官補佐 河野 圭の写真。

(GSSのセキュリティについて語る、デジタル庁 参事官補佐 河野 圭の写真)

セキュリティを担保する「ゼロトラストセキュリティ」

GSSは、課題となっていたセキュリティをいかに担保しているのでしょうか。

「一般的に利便性とセキュリティはトレードオフになりやすいのですが、GSSにおいてテレワークとセキュリティを両立させられたのは、『ゼロトラストセキュリティ』という考え方を導入しているためです」(デジタル庁 荒井)

ゼロトラストセキュリティは、組織の情報資産に接続するすべてのアクセスを「信用しない」ことを前提にした情報セキュリティの考え方です。これに基づいて接続しているユーザーや端末にIDを割り当て、常に監視、確認を続けることで高度なセキュリティを担保しています。

「例えば、出張した際にイギリスからアクセスのあったIDが、5分後に同じIDでアメリカからアクセスしてきたら、『このIDはおかしい動きをしているぞ』とアラートが上がります。こうした非現実的な移動も検知され、すぐ調査をすることも可能になっています」(デジタル庁 河野)

GSSの導入を機に業務効率化の動きを進めた人事院

GSSのファーストユーザーとなったのが、国家公務員の人事管理などを担っている人事院です。

人事院へのGSSの導入を担当した人事院 竹内 健司氏は、人事院内でのGSSの利活用に向けた取り組みを紹介します。

GSS導入に伴って生まれた業務効率化の動きや働き方の変化について語る、人事院 事務総局 情報管理専門官 竹内 健司氏の写真。

(GSS導入に伴って生まれた業務効率化の動きや働き方の変化について語る、人事院 事務総局 情報管理専門官 竹内 健司氏の写真)

ウェブ会議ツールの使い方については、人事院内で講師を募り、改めて自分たちで勉強会を実施。その結果、ウェブ会議の利用促進につながったといいます。

さらに、GSS導入によって生まれた業務効率化の動きついて、竹内氏はこう続けます。

「人事院では国家公務員試験を実施しており、説明会を学生の方向けに実施しています。

これまでは、日程の調整などをメールで個別に行っていましたがデジタルツールを使うことで負担が軽減され、やはり作業の効率化につながっています」(人事院 竹内氏)

農水省やこども家庭庁の働き方も大きく変化

人事院への導入後、農林水産省やこども家庭庁など各省庁に次々にGSSが導入され、職員の働き方が大きく変わっています。

河野は、GSSを利用する職員から寄せられた声を紹介します。

「『GSSのおかげで出張が非常に便利になりました。

海外出張にもそのまま端末を持っていけるようになるなど、『非常に便利になって助かった』『国際会議にも簡単に出席できるようになった』という声をいただいています」(デジタル庁 河野)

高度なセキュリティと政府職員の柔軟な働き方を両立させ、国民のみなさまに向けてより良い行政サービスを提供する下支えとなるGSS。GSSを利用している職員数は2023年度に約3万人、2024年度以降、新たに10万人規模への提供を予定しています。

行政機関のDXは、さらに加速していきます。

(※所属・職名などは取材時のものです)

●関連情報は、以下のリンクをご覧ください。
ガバメントソリューションサービス|デジタル庁(※外部リンク)

●デジタル庁ニュースでは、「GSS」に関する記事を掲載しています。以下のリンクをご覧ください。

●デジタル庁ニュースの最新記事は、以下のリンクからご覧ください。