「ダッシュボードデザインの実践ガイドブックとデザインテンプレート」の活用事例集
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デジタル庁は、行政や公共機関、民間企業等が、データと根拠に基づいた政策判断や効果の可視化を効率的に行えるよう、「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」と「デザインテンプレート」(※外部リンク)を公開しています。
本記事では、「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」や「デザインテンプレート」を活用し、ダッシュボードの品質向上および設計開発の効率化を実現した四つの先行事例を紹介します。
<目次>
デジタル認証アプリ利活用状況ダッシュボード(デジタル庁)
利用状況を可視化し、透明性のある運用を推進

(デジタル庁認証アプリの利活用状況ダッシュボード/デジタル庁)
デジタル認証アプリとは
マイナンバーカードを使った本人確認や署名を、安全かつ簡便に利用できるようにするためのデジタル庁提供のアプリです。行政機関や民間事業者は、デジタル認証アプリと連携するAPI(デジタル認証アプリサービスAPI)を活用することで、本人確認や署名の機能を自らのサービスに組み込むことができます。
ダッシュボード導入の背景
本アプリが社会でどの程度利用され、定着しているのかについて、具体的な指標を分かりやすく示す必要がありました。行政機関や民間事業者における導入・利用状況を継続的に可視化し、透明性のある運用や対外的な説明責任につなげることが課題でした。
作ったもの
ガイドブックの原則に基づき、利用状況を月次で集計・可視化するダッシュボードを構築しました。将来的な動向を示すリード指標である「利用申込数」、本番稼働を開始した「サービスイン数」、実際の利用規模を示す「認証件数」を配置し、それぞれについて月次値と累計値の推移を時系列で確認できる構成としています。サービス開始以降の推移を、棒グラフと折れ線グラフを用いてシンプルに表現しました。直近の動きと累積的な伸びを併せて把握できるようにすることで、利用拡大の状況をひと目で確認しやすくしています。
ガイドブックで特に参考になったポイント
レイアウト検討に悩まなくなった
ガイドブック、テンプレートではデフォルトのグリッドテンプレートが用意されています。このグリッドを下敷きにしたことで、グラフを配置するエリアを整理する事ができ、品質のばらつきを抑えながら整備を進めやすくなりました。グラフの選択がしやすくなった
「時間変化や傾向を伝える場合には折れ線グラフが適している」といったガイドブックの明確な指針があったことで、伝えたい内容に応じたグラフを選択しやすくなりました。見せ方の判断に迷いにくくなった
過度な装飾を避けること(ノイズの削除)や、原点を 0 にそろえることなど、デザインガイドブックの「Do’s & Don’ts」に沿って設計することで、「どう見せれば伝わるか」という見せ方に関する判断の迷いが減り、デザイン上の議論や悩みが解消され、情報を分かりやすく整理できました。
ダッシュボードの効果
1.運用負荷の軽減
【資料作成の効率化】
毎月の報告資料作成にあたり、利用実績の確認・整理・可視化の流れを定型化しやすくなり、運用面での負荷軽減につながりました。あわせて、公開ダッシュボードとして継続的に更新しやすい点も有効でした。
2. 説明や報告業務の品質向上
【客観的な事実(ファクト)に基づく説明】
ダッシュボードを通じて利用状況を「ファクト」として視覚的に示し、公式に一元的に公開できるようになったことで、サービスの浸透状況を対外的に説明しやすくなりました。直近月時点でも、利用申込数、サービスイン数、認証件数のいずれも増加傾向を視覚的に把握しやすくなっており、利用拡大の状況を分かりやすく伝えられるようになりました。
【共通認識の形成と透明性の確保】
関係者から「現在どの程度広がっているのか」「継続的に使われているのか」といった確認があった場合にも、個別に説明するのではなく、共通の参照先を提示しやすくなりました。これにより、行政サービスにおける透明性の確保に加え、広報、利活用推進、政策説明に関する負荷の軽減につながっています。
【検討層への参考情報提供】
あわせて、利用状況の公開は、導入を検討する自治体や事業者にとって、広がりや運用状況を把握するための参考情報となり、説明材料の一つになると考えられます。
電子決裁システムEASY(デジタル庁)
利用状況を視覚化し、データに基づくプロアクティブなシステム運用を実現

(電子決裁システムEASYダッシュボード)
電子決裁システムEASYとは
政府全体の公文書管理の適正な実施や業務効率化を目的に、各府省庁で働く約48万人の職員に利用されている(2025年度末時点)、行政文書を電子的に決裁、整理、保存、移管又は廃棄するサービスです。
ダッシュボード導入の背景
従来は表計算ソフトを使用して利用状況を集計しており、公文書決裁の繁忙期が年度末・年度初めであることなどは大まかに把握できていましたが、府省庁ごとの詳細な動きまでは分析しづらいという課題がありました。
作ったもの
利用者数、ログイン数、保有する行政文書ファイル数、決裁件数、電子決裁率などを、府省庁別と全体合計で観測・分析できる「ダッシュボード」を構築しました。
ダッシュボードの効果
1.運用負荷の軽減
【利用傾向の分析効率化】
- 府省庁ごとの利用傾向の分析が楽になりました。実績がグラフなどで視覚的に分かりやすく確認できるようになり、各府省庁の特定の時期の動きや利用傾向の把握がスムーズに行えるようになりました。
2. 運用体制の適正化と将来予測
【計画策定の精度向上】
- システム増強や運用体制の計画の悩みが少なくなりました。
- 時系列で利用の増加率や繁忙期の利用状況を明確に確認できるようになったため、将来のシステム増強計画の材料集めや、ヘルプデスクの体制準備等における懸念要素の減少につながりました。
3.サービス品質の維持・向上
【持続的な提供基盤の確立】
詳細なデータ分析に基づいて、システム運用保守やヘルプデスクの動きに的確に備えることができるようになりました。これにより、異動が多く常に新規利用者が発生する環境においても、持続的で安定した高いユーザビリティを提供し続けるための基盤が整いました。
データで見る日本の教育(国立教育政策研究所)
テンプレート活用で「未経験」の壁を突破。教育データの経年変化を誰でも見られる形へ

(全国学力・学習状況調査|児童生徒質問調査アーカイブ/国立教育政策研究所)

(全国学力・学習状況調査|児童生徒質問調査アーカイブ|回答の経年変化/国立教育政策研究所)
「データで見る日本の教育」とは
国立教育政策研究所ホームページ内の、可視化した教育に関する主要なデータを表示・比較できるウェブコンテンツです。ここに平成19年度以降実施されている「全国学力・学習状況調査」の質問調査結果をまとめたデータアーカイブを掲載しました。
ダッシュボード導入の背景(課題)
これまでは毎年度の調査結果が分厚い報告書(PDF)として蓄積されていた上、年度によって質問項目が異なるため、質問項目(「朝食を毎日食べているか」、「自分にはよいところがあると思うか」、「読書は好きか」など)に対する回答傾向の長期的な経年変化を把握することが困難でした。また、担当チームにはダッシュボードの作成に関するノウハウが十分ではありませんでした。
作ったもの
約20年間にわたる過去の膨大な調査データを統合し、「児童生徒質問調査アーカイブ」「学校質問調査アーカイブ」としてインタラクティブなダッシュボードを構築しました。膨大な質問項目を一覧化し、選択した項目の回答傾向の経年変化を比較できるUIを採用しています。
ガイドブックで特に参考になったポイント
- 未経験でも「型」を使うことで迷わず構築できた
- 自らダッシュボードを作成することは初めての経験でしたが、テンプレートという「正解の型」があったため、レイアウトや配色の検討で試行錯誤する時間を最小限に抑えられました。結果として、専門的なデザインスキルに頼ることなく、短期間で高品質なダッシュボードを公開することができました。
ダッシュボードの効果
●学術・教育現場から高く評価
- 【シンポジウムで称賛された「使えるデータ」への進化】
- 本取組を教育データサイエンス関係のシンポジウムで共有したところ、参加した研究者から「ぜひ大学の教育データサイエンスの授業で活用したい」といった好意的な反応が寄せられました。
また、教育委員会からも「このように質問調査結果を見ることができれば、自治体も新たな気づきを得られる」といった反響がありました。単にデータを公開するだけでなく、ユーザーの利用シーンに寄り添ったUI/UXを実現したことで、教育現場やアカデミアにおけるデータ活用のハードルを一段下げることができました。国立教育政策研究所では、今後も「データで見る日本の教育」のコンテンツ拡充に取り組みます。
- 本取組を教育データサイエンス関係のシンポジウムで共有したところ、参加した研究者から「ぜひ大学の教育データサイエンスの授業で活用したい」といった好意的な反応が寄せられました。
「データでわかる東京」(東京都)
多岐にわたる都政データを集約。「東京の今」を都民へ届ける

(子育て支援制度レジストリダッシュボード/東京都)
「データでわかる東京」とは
「2050東京戦略」の政策目標の進捗、「保活ワンストップサービス」等の都民生活への施策の効果の紹介、各局の取組の成果など、多岐にわたる都政のデータのタッチポイントを揃えた、「東京の“今”を知る」ことができる都民向けのダッシュボードポータルです。
ダッシュボードポータル導入の背景
都が保有するデータはこれまで各局で個別に管理・発信されることが多く、都民の目線からすると「自分が知りたい情報がどこにあるのか分かりにくい」「資料ごとのデザインがバラバラで読み解きにくい」という課題を抱えていました。
作ったもの
都民の興味関心に合わせて「子供・若者・教育」「防災」といったテーマごとに情報を分類し、検索性を高めたポータルサイトを構築しました。また、「2050東京戦略」「都政の構造改革」「注目テーマ」においては、デジタル庁のガイドブックを参考に、統一したデザインで作成し、視認性を高めました。
ガイドブックで特に参考になったポイント
視認性の高いダッシュボード量産が楽になった
- ガイドブックの「レイアウトグリッド」や「カラーパレット」を都の共通ルールとして取り入れたことで、多岐にわたるテーマであっても、各担当部署が迷わずスムーズに作成できるようになりました。
全体最適化と情報構造に悩まなくなった
- 「知りたいことを知れる」という原則に基づき、多様なデータをどう見せるかの共通の「型」ができたことで、情報構造やデザインのバラつきに関する悩みが解消されました。
ダッシュボードの効果
●ダッシュボード作成の標準化と全庁的な運用体制の構築
【運用体制の確立と透明性の向上】
共通ルールにより、多様な政策データをスピーディーに可視化し、追加していく運用体制が実現しました。統一された見やすいデザインにより、都政の各種サービスの実態や長期戦略の進捗が一目で分かるようになり、都政に対する理解と透明性が大きく向上しています。
また、デジタル庁のガイドブックを参考に、データでわかる東京等でダッシュボードを作成した経験を加えた東京都版のガイドブック、テンプレートを新たに作成し、全庁的にデザインを統一し、視認性を今後も高めていきます。
- 東京都のダッシュボード作成ガイドブック[PDF](※外部リンク)
まとめ(デジタル庁ファクト&データユニット)
「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」や「デザインテンプレート」は、単なるデザインの手引きではなく、データを活用して 「業務を変える」 ためのツールです。
四つの事例に共通するのは、ガイドブックの活用によって「見やすくなった」だけでなく、「仕事の進め方が効率的になった」という点です。ぜひ以下のリンクからツールキットをダウンロードし、皆様の現場でもご活用ください。
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