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政府の「ガバメントクラウド」を支える「モダンなアーキテクチャ」とは? デジタル庁 CCO(チーフクラウドオフィサー) 山本 教仁

デジタル庁が提供する政府共通のクラウドサービスの利用環境「ガバメントクラウド」(※外部リンク)。

デジタル庁 CCO(チーフクラウドオフィサー)の山本教仁が、ガバメントクラウドが政府や地方公共団体にもたらすメリットや現状の課題などを紹介します。

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ガバメントクラウドとGCASの技術リーダー

デジタル庁 CCO山本 教仁の写真

――現在取り組んでいるプロジェクトは?

山本 3年前、デジタル庁が発足する前の準備室時代からクラウド専門家、クラウドアーキテクトとして仕事をし始めるようになり、今に至っています。

現在は、「ガバメントクラウド」というクラウドサービスと、それをより便利に使っていただくためのウェブサービス「GCAS(Government Cloud Assistant Service/ジーキャス)」開発に技術リーダーとして携わっています。

ノートPCで作業をするデジタル庁 CCO 山本 教仁の写真

――ガバメントクラウドの開発・導入で大事にしていることは?

山本 一番フォーカスしているのが、「迅速」「柔軟」「コスト最適」「セキュア」という4つの指標です。

「迅速」で「柔軟」というのは、クラウドサービスをなるべく自由に使っていただくこと。そこに対して予防的統制、発見的統制というガワをかぶせて「セキュア」を実現。さらには、管理費用などを積み増しすることのない、クラウドサービスの素の金額でユーザーに提供することで、「コスト最適」な環境も目指しています。

低コストかつ便利なモダンアーキテクチャ

――4つの指標の実現に向けてモダンなアーキテクチャが重要な理由は?

山本 官公庁のシステムはこの20年間変わらず、そのままの形を維持し続けているものがたくさんあり、これが今、高コストになっているという問題があります。これを今どきのモダンなアーキテクチャにつくり変えることで、低コストかつ便利なシステムを実現できると思っています。

もうひとつは、クラウドアーキテクチャ自体もモダン化していかなくてはいけない。昭和のオンプレミス(自社で保有・運用するシステムの利用形態)と、平成、令和のクラウドでは大きく違うと思っていて、それを我々は「自家用車」「タクシー」「バス」に例えて表現します。

昭和時代のオンプレミスは自家用車を買ってきて、自分でメンテナンスしたりガレージも自分で借りたりというようなことをやらなければいけなかった。平成時代のクラウドはもう少し共有で使える「タクシー」のようになりましたが、車自体はタクシー会社が所有するけれど、ユーザーはタクシーを呼び出したりしなくてはいけないし、タクシー会社によってバラバラな代金を払わないと目的地まで行けなかった。

令和のクラウドは「バス」に近い形で、行き先が決まってさえいれば、バス停に行って運賃を払えば目的地まで連れて行ってもらえる。必要な分だけ代金を支払って使えば、目的を達成できるというものになります。

―――ガバメントクラウド導入のメリットは?

山本 大きなところでは「コストの削減」と「セキュリティの強化・維持」。

また、「横のデータ連携」を通じて自治体システムの標準化・共通化や、システム開発基盤の統一化を目指すという3つの大きなメリットがあると考えています。

「コスト削減」については、システムやインフラなどのテンプレートを我々がつくって提供し、ユーザー自身で適用いただくことで、システムは即座かつ安価につくることができます。また、同じガバメントクラウド上で各団体に使用していただくことで、どうしたらコストを削減できるかなどの情報共有をしていけると思っています。

「セキュリティの強化・維持」については、例えばクラウドの設定ミスなどが起これば通知を出し、我々の方でいち早く気づけるようなセットをし、セキュリティ向上を目指しています。

「横のデータ連携」は、今後デジタル庁が国で共通して使えるシステムや、地方公共団体が共通で使えるサービスをつくっていけると考えています。

ノートPCをつかってオンラインミーティングをするデジタル庁 CCO 山本 教仁の写真

――民間企業とは異なる点は?

山本 民間企業との大きな違いは規模とセキュリティだと思っています。

民間にも多くのグループ会社を持つ大企業がありますが、国には地方公共団体が千数百あるので規模感は非常に大きいと考えます。

またセキュリティの面では、民間企業も大事なお客様の情報を守るためにもちろんしっかりやっていますが、国も同じノウハウを共有しながら最高度のセキュリティを実現していきます。

さらに国の場合は、例えば100年という長いスパンで見た時に、世界情勢も移り変わっていく中で、国民のデータをどう守るのかといった視点でのセキュリティが重要です。そこも民間との大きな違いではないでしょうか。

意識せずともサービスを使っている未来

――デジタル化がユーザーにもたらす未来とは?

山本 データが横で組織をまたがりながらつながっていくことが、デジタル化の大きな要素です。

分かりやすい例でいうと、内部で情報が連携されるので、窓口に行って1回手続きをするだけで済むようになるサービスは、早いタイミングで実現したい。さらにその先には、市役所に行かなくても申請などができるようにすることが目標です。そうしたデータの横連携のために、ガバメントクラウドは大きく貢献できると思っています。

究極は、意識せずともいろいろなサービスを使っている未来。国民のみなさま向けの行政サービスを、民間企業が支援を受けながらつくっていく時に、ガバメントクラウドを使用することでよりデータの連携をしやすくするといったところでも貢献していけると考えています。

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