生年月日を伝えずに、学園祭の「20歳未満の飲酒防止」を、より確実に。iPhoneのマイナンバーカードを使った年齢確認の現場から
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学園祭でお酒を買うとき、年齢確認に使うのは、手元のiPhone。東京都市大学横浜キャンパスの学園祭「横浜祭」では今年(2026年)、そんな新しい取組が行われました。
デジタル庁ニュースでは、横浜祭実行委員会管理部長の和氣創さんと、デジタル庁の小松優太主査(国民向けサービスグループ/カード民間利活用促進担当)に、取組の経緯や当日の様子、実際に運用して感じた手応えなどを聞きました。
年齢確認の方法に新しい選択肢を

(リストバンドを着けた来場者に飲み物を手渡す学生スタッフ)
横浜祭ではこれまで、学生スタッフが本人確認書類の目視確認で20歳以上かどうかを判断してきました。対象は運転免許証や学生証、マイナンバーカードなど顔写真付きのものです。20歳以上と確認できた来場者にはリストバンドを渡し、着けている人だけが酒類を購入できる仕組みです。リストバンドの色は開催日ごとに変わります。
ただ、本人確認書類は種類ごとに様式が異なるうえ、生年月日から年齢を計算する必要もあります。慣れないスタッフにとっては迷いやすい作業です。
一方、デジタル庁が提供するマイナンバーカード対面確認アプリ(以下、対面確認アプリ)は、2025年8月からiPhone(Appleウォレット)に追加したマイナンバーカード(iPhoneのマイナンバーカード)も確認できるようになりました。
確認する側がアプリをダウンロードしたiPhoneを用意し、確認される側がマイナンバーカードを追加したiPhoneを近づけるだけで、相手の承諾のもと本人情報を確認できます。生年月日を表示せずに「20歳以上か、未満か」を確認できる機能もあります。
この機能を学園祭での年齢確認に生かせないか。そう考えたデジタル庁が声をかけたのが、横浜祭でした。
「アプリは、実際に使われてこそ意味があります。学園祭には20歳前後の来場者が多く、20歳以上かどうかの判断が難しい場面も少なくありません。だからこそ、『20歳以上か、未満か』を確認できるこのアプリが役に立つと考えました」(小松主査)

(来場者のiPhoneのマイナンバーカードを、対面確認アプリで確認する和氣さん)
2026年度の横浜祭で年齢確認を担当した和氣さんは、デジタル庁から連絡を受けたときのことを次のように話します。
「最初は、デジタル庁から突然連絡が来たことに驚きました。でも内容を見ると、ちょうど自分が担当しているお酒の年齢確認の話だったんです。年齢確認は毎年同じやり方を続けてきたので、新しい方法を試せるのは面白いなと。お酒の販売は事故にもつながりかねないので、少しでも改善できることがあるなら積極的に取り入れたいと考えていました」(和氣さん)
こうして、横浜祭での実施に向けた準備が始まりました。初回の打ち合わせでは、小松主査がキャンパスを訪れました。2人は和氣さんのiPhoneのマイナンバーカードを使ってアプリでの確認を試しながら、当日の運用について相談しました。その後も両者で連絡を取り合い、準備を進めました。
合言葉は「心置きなく、夢中になれる学園祭」

(多くの来場者でにぎわう横浜祭の様子)
やりとりを重ねる中で、横浜祭実行委員会とデジタル庁は「心置きなく、夢中になれる学園祭」という実現したい未来を共有しました。この言葉は、デジタル庁がほかの大学の実行委員会と進める取組にも、共通のテーマとして引き継がれています。
和氣さんと小松主査は、この言葉に込めた思いをこう話します。
「年齢確認はきちんと行わなければなりませんが、お酒を楽しみにしている来場者もおられます。ルールを守っているからこそ楽しめる。そんな学園祭を目指して準備を進めてきました」(和氣さん)
「年齢確認を確実に行うことは、楽しみを制限するためのものではなく、安心を基盤に思いきり楽しめる環境をつくることにつながると考えました」(小松主査)
こうした学園祭を実現するうえで、鍵になったのが来場者への周知です。新しい方法で年齢確認を受けるには、来場者があらかじめiPhoneにマイナンバーカードを追加しておく必要があります。そのため実行委員会は、パンフレットや公式サイトで追加方法を丁寧に説明し、SNSでも事前に告知しました。
当日は、実行委員会が年齢確認を行う本部ブースの隣に、デジタル庁もブースを設けました。デジタル庁の職員がiPhoneへのカード追加を案内し、来場者がその場でも使い始められるようにしました。
スタッフにも来場者にも、確認しやすく

(iPhoneのマイナンバーカードと対面確認アプリを活用すれば、端末を近づけるだけで年齢を確認できる)
迎えた9月12日・13日の横浜祭当日。実行委員会の概算では、2日間で行った年齢確認は約600件で、そのうち1割ほどが対面確認アプリを使ったものでした。事前の準備が必要な新しい方法でしたが、会場で取組を知り、その場でiPhoneにマイナンバーカードを追加して使う来場者もいました。
年齢確認をする側にとって、顔写真付きの本人確認書類の目視確認とアプリでの確認では何が違うのでしょうか。両方を担当した和氣さんは、こう話します。
「僕自身はまだ19歳で、年齢を確認される側の経験がなく、運転免許も持っていません。本人確認書類によっては、20歳以上かどうかをすぐに判断しにくいものもあります。一方、対面確認アプリなら、必要以上の個人情報を見ることなく『20歳以上です』とわかりやすく表示されるので、迷わず年齢確認ができるのでありがたいですね」(和氣さん)
年齢確認を担うスタッフには20歳未満の学生も少なくありません。和氣さんによると、3年生が忙しくなると、1~2年生が中心になって対応する場面もあるとのこと。経験の浅いスタッフでも結果がひと目で分かれば、見落としや判断ミスが減り、確実な年齢確認につながります。

(対面確認アプリの確認画面(※一部画像を加工しています))
確認される側にとっても、違いがあります。本人確認書類によっては、券面に氏名や住所が記載されており、年齢を確かめるだけの場面でもそうした情報まで相手の目に入ります。一方、対面確認アプリであれば、確認画面に表示されるのは、顔写真と20歳以上かどうかの2つの情報だけです。氏名や住所はもちろん、生年月日も表示されません。
小松主査の印象に残ったのも、こうした点への来場者の反応でした。
「表示された画面を見て、『この情報だけでいいんだね』と声をかけてくださる方がいました。スマホをかざすだけで確認が終わる手軽さに、感心されている様子も見られましたね」(小松主査)
地域に根ざした横浜祭には、ベビーカーを押す家族連れなど、近所の人も多く訪れます。「住所を見せずに済むことは、近隣から訪れる来場者にとっても安心につながる」と小松主査は話します。
横浜祭から広がる、学園祭の年齢確認

(横浜祭実行委員会の和氣さん(左)とデジタル庁の小松主査(右))
取組を終えた和氣さんは、こう振り返ります。
「省庁というと、自分たちとは遠いところにある存在だと思っていました。今回一緒に取り組んでみて、国の機関がこんなに身近なものだったんだ、というのがいちばんの感想です」(和氣さん)
和氣さんは、対面確認アプリを使った年齢確認を来年以降も引き継いでいきたいと考えています。次回は使い方を印刷してテントに貼るなど、よりスムーズに進める工夫を考えています。
操作が分かりやすくなれば、別の効果も期待できます。年齢確認を担う実行委員会の管理部では、人手が足りない場面もあるため、ほかの部署に確認を頼むことも少なくありません。「操作が簡単であれば、ほかの部署のスタッフにも年齢確認をお願いしやすくなる」と和氣さんは話します。
取組は、横浜祭の外にも広がり始めています。横浜祭の初日には、東京都市大学世田谷キャンパスの「世田谷祭」の実行委員が見学に訪れ、自分たちの学園祭でも実施したいと声を上げました。世田谷祭でも、10月31日・11月1日の開催にあわせて、対面確認アプリを使った年齢確認が行われる予定です。
東京都市大学を皮切りに、デジタル庁はほかの大学の学園祭でも対面確認アプリを使った年齢確認に取り組んでいます。大学ごとに年齢確認の環境や課題は異なるため、それぞれの実行委員会の声を聞きながら、運用の形を一緒に考えています。iPhoneのマイナンバーカードに加え、実物のマイナンバーカードのICチップを読み取って確認する学園祭もあります。
お店やイベントへ広がるマイナンバーカードの活用シーン

(スマートフォン同士をかざすだけの確認は、店舗やイベントでも活用が期待される)
年齢確認が必要な場面は、学園祭のほかにも日常生活のさまざまなシーンにあります。
「飲食店やコンビニ、スーパーでも、年齢確認が必要となる場面があります。年齢だけを確認できるこのアプリなら、お互いに気兼ねなくやりとりできるはずです。暮らしのさまざまな場面で、使っていただける機会を広げていきたいと考えています」(小松主査)
デジタル庁では、店舗だけでなくイベントの場面での活用も視野に入れています。音楽フェスやスポーツ観戦など電子チケットの利用が広がるイベントでも酒類を販売する場面があります。対面確認アプリを活用すれば、本人確認書類を持ち歩かなくても、スマホ一つで入場から年齢確認まで済ませることも期待できます。
2026年10月20日からは「Androidのマイナンバーカード」の提供も始まり、スマートフォンのマイナンバーカードを使える方はさらに増えていきます。
会場では、学生から「身の周りでマイナンバーカードを使う機会はあまりなかった」という声もありました。今回の学園祭は、そうした学生にとって、カードを実際に使ってみる機会にもなりました。
「プロダクトがあるだけでは、暮らしや未来は変わりません。利活用いただく現場の皆さまと一緒に、どんな未来を実現したいのかを話し合いながら進めていくことを大切にしたいと思っています」(小松主査)
●学園祭での年齢確認の取組や、実施予定の学園祭は以下のページで紹介しています。
●民間事業者の方に向けたマイナンバーカードの活用情報は、以下のリンクをご覧ください。
●デジタル庁ニュースでは、マイナンバーカードの普及と利活用に関する取組を紹介しています。以下のリンクからご覧ください。