プロジェクトもデータも「つないで動かす」デジタル庁 シニアエキスパート 住田智子
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複数の省庁を横断し、ステークホルダーも多様なサービス開発の現場ではどのようなことがおこなわれているのでしょうか。
数々の行政DXサービスの立ち上げに関わってきたデジタル庁 シニアエキスパートの住田智子が語りました。
さまざまな行政サービスの開発を推進
――これまでに取り組んできたプロジェクトは?
住田 2020年にデジタル庁に参画しました。今は主にカスタマーサクセス戦略担当のシニアエキスパートという職と、省庁に出向しているプロジェクトマネージャーをまとめるプロジェクトマネージャーユニットのユニット長を務めています。
参画時は2020年終盤で、新型コロナウイルスのワクチンをもうすぐ打てるという段階でした。そして2021年1月末、ワクチン接種開始にあたって立ち上げられたプロジェクトに参画しました。
プロジェクトの内容は、ワクチン接種の記録を取るだけではなく、接種記録を基に次の政策を考えられるようなデータ共有、もしくは、データを共有する国民のみなさまにも安心してデータを提供していただけるシステムを構築するというものでした。
――その他のプロジェクトや現在取り組んでいるプロジェクトは?
住田 その後、「Visit Japan Web」という入国手続きのプロジェクトにも参画しました。「Visit Japan Web」は、外国人や海外から日本に帰国される日本人も対象です。それまでの入国手続きは紙ベースでしたが、紙をなくしてすべてデジタルでできないかと始まったプロジェクトです。紙ベースでは新型コロナのウイルスを媒介する懸念もあり、デジタル化の推進が急がれていました。
現在は「給付支援サービス」のプロジェクトを推進しています。新型コロナ禍に給付が全国区でありましたが、デジタル化が進んでいませんでした。
1,741ある自治体が、それぞれにシステムをつくることは効率的でも合理的でもありません。2023年に実証を行っていましたが、急遽、2024年2月までに給付支援サービスをリリースすることになり、プロジェクトを進めています。
●デジタル庁ニュースでは、給付支援サービスに関する記事を掲載しています。以下のリンクをご覧ください。

(多くの行政サービス立ち上げに関わってきたデジタル庁 シニアエキスパート 住田 智子)
ユーザー視点のメリットをしっかり把握すること
――プロジェクト推進のコツについて教えてください
住田 プロジェクトの重要性や、どれくらいの体制・予算が必要かを、しっかりと庁内で説明してみなさまの理解をいただきながら、体制づくりや予算確保ができるように動くことが大事だと思います。
プロジェクト推進について「Visit Japan Web」を例に取ると、税関申告は財務省、入国手続きは出入国在留管理庁、検疫は厚生労働省、インバウンド政策には観光庁や外務省、さらに海外広報は外務省など、いろんな部署・省庁が関わってきます。
それぞれ、「自分たちの省庁ではこういうことをしたい」という思いがあるわけです。その思いを理解しながらも、国全体としてのゴールをどこに置くべきか。国民のみなさま、ユーザー視点から見たときに「メリットは何か?」をしっかりと把握することが重要です。

(プロジェクト推進のコツは「関係省庁の考えを理解し、全体のゴールをどこに置くか。ユーザー視点の把握も重要です」と語る住田)
サービスのローンチはゴールではなくスタート
――シニアエキスパートとしての信念を教えてください
住田 利用者の視点に立ち、かつサービス提供側の視点も重要ですので、その双方を意識しながらプロジェクト運営をするようにしています。
サービスが出来上がったときがゴールではなくて、そこがスタート。そこからさらに良くしていくことがすごく重要であると考え、サービス運営をしています。
――データがつながると暮らしはどのように変わるのでしょうか?
住田 例えば給付支援サービスでは、国が勝手にデータを取ることはもちろんできません。しかし、自治体にデータ提供をしていただき、そこに個人の方が自分のデータを提供するような流れになるとスムーズに審査・チェックができるなど、今まで時間を要していたことが、短時間でできるようになります。
今後も、デジタル庁で推進する一つひとつのプロジェクトをしっかりとつないでいくことで、「これとこれをつなぐと、こういうことができるのか!」といった世界を見せていくことが大事だと思っています。
●関連情報は、以下のリンクをご覧ください。
- Visit Japan Web|デジタル庁(※外部リンク)
- 給付支援サービス | デジタル庁 ウェブサービス・アプリケーション(※外部リンク)

デジタル庁 カスタマーサクセス戦略 シニアエキスパート
住田 智子(すみだ・ともこ)
(※所属・職名などは取材時のものです)
●デジタル庁ニュースでは、デジタル庁職員などのインタビューを掲載しています。以下のリンクをご覧ください。
●デジタル庁ニュースの最新記事は、以下のリンクからご覧ください。